ギータ・ゴヴィンダについて
『ギータ・ゴーヴィンダ』とは「牛飼いの歌」という意味で、12世紀の詩人ジャヤデーヴァによる叙事詩です。ヴィシュヌ神の化身クリシュナが牛飼いとしてヤムナー川のほとりで過した青年期に、ラーダーと繰りひろげた恋愛模様が、豊かな自然を背景に詠われた、サンスクリット文学の名作とされています。官能的な情景描写とともにヴィシュヌ神をたたえる詩句で構成されており、ヴィシュヌ神信仰の発展と深く関わりを持っています。
『ギータ・ゴーヴィンダ』に詠われる官能的な情景描写は、決して男女間のセクシャルな恍惚を表しているのではなく、クリシュナは、神=真理そのものであり、ラーダーは、純粋な心=人間の魂を象徴しています。
物語は、美しいラーダーが、親しい女友達から春爛漫の野で恋人クリシュナが他の女たちと戯れ踊るありさまを聞いて悩み苦しみ、友のとりなしによりクリシュナの愛は戻るが、ラーダーはすねてこれを拒絶し、お互いにさびしい思いし、やがて二人和解するといった単純な内容ですが、ジャヤデーヴァによる詩的技巧を駆使し、詩ごとにメロディとリズムといった音楽的要素を生かして美しい詩に仕上げられています。(ミュージカルの始まりと言われています。)また、この詩の官能的描写は、インド芸能や絵画に多くの題材を提供し続けています。
8/17日曜日演目紹介はブログをご覧ください。
http://odissi.jugem.jp/?eid=195